用美社の本

09/05/04 | カテゴリー:蔵書紹介 | | No コメント

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↑大竹伸朗 タオ・テオ・チュアン『EZMD』用美社 1987年


この『EZMD(イー・ジー・エム・ディー)』には2バージョンあって、
写真のカセットテープがついてないものが当時4,800円、
カセットテープ付きが同じく7,300円だった。
EZMDのEZはeasy、MDはMarcel Duchampだ。
EZにはeejitの意味も込められている。
これは、「Idiot(バカ)」の意味で、
スコットランドとアイルランドで使われる訛り(?)なのだそうだ。
1887と1987と大きく書かれているのが、
これは、デュシャンの生年が1887年。
この本が作られたのが1987年ということだろう。
タオ・テオ・チュアンとは大竹伸朗の中国語読みで、
共著のような装いをしているが、実はどちらも大竹氏である。
大竹氏はこの出版社、用美社からいくつか作品集を出している。
どれも、大手の出版社では作れないであろうものばかり。
『倫敦香港一九八〇』は他の版元から、最近復刻された。
これは大竹氏のスクラップブックを書籍として再現してるものだが、
実際にスクラップブック的に手で貼っている豪華限定版と
普通に印刷されている廉価版が作られた。
昨年の〈フクヘン。展〉では両方を展示していた。そのときの写真。

↑大竹伸朗『倫敦香港一九八〇』用美社 1986年刊
その用美社だが、こういう凝った書籍を出しているところの例にもれず、
会社の存続が難しくなっていったようである。
僕の本棚にある用美社の本としては、大竹さんや稲越さんの作品集のほか、
美術家の小林健二氏の作品集『AION』もある。これも名作だ。
一部の本はプレミア価がつけられ、入手しにくく、伝説の書と化している。
評価されるには時間が必要とされる美術書の世界を垣間見る思いだ。
実は、先日、写真家の稲越功一さんが亡くなったときに、
用美社刊の彼の一冊の写真集についてこのブログで書いたら、
用美社社長の岡田満さんから、手紙と最近出版した本が送られてきた。
岡田さんの手紙によれば、闘病中の稲越さんにも会っている。
見舞いにも行ってらしたようだ。
そして「今も葉山の海のそばで制作を続けています。(中略)
好きな作家の本を年に少し刊行しています。」
とのことだ。
僕はそのブログの中で、
「この用美社というのは、大竹伸朗さんの『倫敦香港一九八〇』や
『Dreams』を出していた出版社だが、今はもうない。」
などと書いてしまい、大変失礼をしてしまった。
しかし、岡田さんは僕のところに怒りの電話を掛ける代わりに、
最新の出版物と手紙を編集部宛に送ってくれたのである。

↑『掛井五郎作品集 AT WORK KAKEI』用美社 2009年

↑彫刻家・掛井五郎さんの作品や版画などをまとめた大型本。

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