「石上純也—建築のあたらしい大きさ」@豊田市美術館

10/09/19 | カテゴリー:美術展 | | No コメント

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今年のヴェネツィア建築ビエンナーレで金獅子賞、昨年は日本建築学会賞を

受賞した気鋭の建築家、石上純也氏(1974年生まれ)の展覧会が

豊田市美術館で始まった。「石上純也—建築のあたらしい大きさ」。12月26日(日)まで。

 

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展示作品の調整をしている石上純也氏。

 

石上氏の展示のいいところは、建築の展覧会にありがちな図面、プランスケッチ、

模型、CG映像などを多用したものではなく、実際に建築物が建ち上がること。

作業的にも、予算的にも大変なのだが、常にそれを成し得ていると思う。

彼が考えてることを、美しくわかりやすく展示するとてもいい展覧会。

残念ながら、設置が完了してない作品もあるし、

また、作品の性質上、倒壊してしまっているものもある。

美術館に望みたいのは、その日、どういう状況で見られるかをウェブで伝えること。

完全な形でなくても、見てイメージすることは意味があることだが、、

どうしても完成形で見たい人にはその要求に応えてほしい。

東京から3時間もかけて行って、どんな状態で見られるかがわからないのでは

ちょっと残念である。「作品が完全でないので後日もう一度どうぞ」と

招待券を渡されても、そんな簡単には行けない場合が多い。

また、見学者はTwitterなどで、情報を交換しながら、出かけるのがいいと思う。

現在、石上氏は、東京の資生堂ギャラリーで「「石上純也展 建築はどこまで小さく、

あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」という展覧会と

ヴェネツィア建築ビエンナーレのアルセナーレ会場でも展示をしている。

ヴェネツィアはともかく、東京の展示も併せて見ることをお薦めしたい。

こちらは、10月17日(日)まで。

 

「いままで建築が備えることができなかった、できる限り多くのスケールを

建築のなかに含めてゆくことはできないだろうか。

建築の概念を広範にすることによってより多くのスケールを建築のなかに含めることが

できるかもしれないし、逆に範囲を変えなくても、さまざまなものを

できるだけ小さく低密度にしてゆくことで、できるだけ多くを建築のなかに

とりこんでいくこともできるかもしれない……」

(石上純也氏による展覧会のメッセージからの抜粋)


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「雲を積層する scale=1/1000」(未完成なので、参考図版として)

蟻の世界くらいのスケールになると、草や葉や花などの植物も構造体として

感じられるのだと思う。自然現象でさえも、ぎりぎり構造体として

感じられるようになるのかもしれない。雨粒なんて、きっと砲弾みたいだ。

たとえば雲。蟻の大きさは全長3mmくらいで、雲の粒の大きさは直径0.01mmくらい。

この模型のなかで、人は蟻くらいの大きさである。

この模型を1/1000の縮尺と考えたとき、こんな感じの関係になる。

[人の大きさ]:[この建物の床の厚み]=[蟻の大きさ]:[雲の粒の大きさ]

つまり、この模型のなかを同じ縮尺の人間が歩く感じは、

蟻が雲の上を歩く感じと同じかもしれない。

そういうスケール感の建築を考えてみる。

薄く平たい板状の雲を積層するように。

建築が、構造体も含めて、自然現象に近いスケール感になることを考えてみる。

(展示説明プレートより)

 

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0.7mmという細いワイヤーやジョイント、薄い布だけでできている。

この段階ではまだ吊られているのだが、自立して完成ということらしい。


昨年、日本建築学会賞を受賞した神奈川工科大学KAIT工房の模型と

それがどう使われているかを観察したビデオの展示。

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「森と建築のあいだ scale=1/50」神奈川工科大学KAIT工房(厚木市)2008年

学生が自由に使える多目的な工房。壁はいっさいない。

構造的にも計画的にも305本の柱のみで成り立っている。

すべての柱は、プロポーションや方向がすべて異なっている。

2000㎡のワンルームであるけれど、それぞれの場所によって

まったく異なる2000㎡の空間を感じることになる。

一歩進むごとに、大きなワンルームの空間が万華鏡のように移り変わっていく。

建築を空間構成によって計画していくというよりは、ランドスケープをつくるように、

あるいは、森をつくるように、あいまいさと計画性とを同時に実現するように考えた。

ひとは、この建物のなかで、さまざまな道を歩き回り、さまざまな空間を発見する。

(展示説明プレートより)


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「地平線をつくる scale=1/23」


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廊下には長いドローイングも。

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ドローイングのディテール。

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別の展示室。

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「空に住む scale=1/1300」

広大な地球環境と同じくらいのスケールで、既存の環境に溶け込むような、

広大で密度が極端に希薄な都市を考える。

環境の多様性がそのまま、生活の多様性につながっていくような街。

一つひとつの建物は、僕たちの日常のスケールと地球環境のスケールを

同時にあわせもつプロポーション。

たとえば、床の大きさに対してすごく階高の高い積層建築。空のなかにいるような開放性。

上の階に行くと、まったく違った景色が広がる。

一般的な積層建築と同様、フロアが反復してるにもかかわらず、

それぞれの階はまったく異なる環境をもつ。

まったく異なる環境が集積した建築では、

各階で風景が変わり、天気も変わり、気象も変わる。

(展示説明プレートより)


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2007年、東京都現代美術館で発表されたタイプの作品。

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「little gardens」2007-2008年


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「little gardens」のディテール。


そして、ヴェネツィアビエンナーレで発表したのと同シリーズの作品。

写真に撮りにくいのと、ここでもこの段階では倒壊しているので参考図版として。

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壁には作品のための繊細なドローイングが。

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展覧会初日であり、内覧会・オープニングレセプション、そして、

ボランティアスタッフ慰労会だった。

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オープニングであいさつをする建築家の石上純也氏。


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豊田市美術館。設計はご存じ、谷口吉生氏です。

 

※もうひとつ豊田市美術館に望みたいこと。

美術館ウェブのトップページがFlashを使っているので、iPhoneやiPadで見られない。

これは、改善をした方がいいと思うのだが。

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