「ハーブ&ドロシー — アートの森の小さな巨人」

10/08/24 | カテゴリー:日記的 | | 4 コメント

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ちょっと前から、Twitterなどでも話題になっていたドキュメンタリー映画

「ハーブ&ドロシー — アートの森の小さな巨人」の試写が

小山登美夫ギャラリーであったので見に行った。

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舞台はニューヨーク。公式ウェブサイトによれば・・・

夫のハーブは郵便局員、妻のドロシーは図書館司書、

二人の楽しみは現代アートを収集すること。

コレクションの基準はふたつ。自分たちの自分たちのお給料だけで

買える値段であること。1LDKの小さなアパートに収まるサイズであること。

二人の慎ましい暮らしの中で約30年の歳月をかけて

コツコツと集められた2000点以上ものアート作品で1LDKのアパートはいっぱい。

しかも、20世紀のアート史に名を残すミニマルアートや

コンセプチュアリズムのアーティストたちの名作ばかり。

やがて、アメリカ国立美術館から寄贈の依頼が舞い込み—-。


ドキュメンタリーなので2人の生きた時代の貴重な資料映像や、

アーティストやアートディーラー、美術館スタッフの証言なども盛り込まれているが、

いちばん長い時間を費やしたのは、彼らの1LDKのアパートで撮影された映像。

壁を埋め尽くす(バスルームまで!)美術品。膨大な現代美術の資料。

しかも、猫がいて、亀がいて、熱帯魚や金魚もいる。


美術館やギャラリーのプレビューには必ず顔を出し、

アーティストのアトリエに赴き、作品をすべてみて、そして購入する。

 

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クリスト&ジャンヌ=クロード「THE GATE」で。NYのセントラルパーク。2005年。

(公式に配布されたプレス用スティル写真)


この映画には、クリストと在りし日のジャンヌ=クロードも登場する。

ハーブとドロシーが一度はあきらめたクリスト&ジャンヌ=クロードの

作品を手に入れられることになった。それはどうして?

 

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ナショナルギャラリーでジョン・チェンバレンの作品を見つめているハーブ。

(公式に配布されたプレス用スティル写真)


富豪どころか、高給取りでさえないふたり。

ドロシー(妻)の稼ぎで生活をし、ハーブの給料全部を作品購入にあてる。

ソル・ルウィット、チャック・クロース、ロバート・マンゴールド、

ローレンス・ウィナーも出演。出演してないけれど、所蔵作品作家としては、

リチャード・アーシュワーガー、アンディ・ゴールズワージー、河原温、

ジュリアン・シュナーベル、ジェフ・クーンズ、ドナルド・ジャッド!

 

この映画を作ったのは、なんと日本人。佐々木芽生(めぐみ)さんだ。


ニューヨークをベースに活動をする映像作家で、ここでは監督とプロデューサー。

今回、この映画のPRのために帰国した。

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上映のあと、説明や質疑応答をする佐々木さん。

「ハーブとドロシーはすでにアメリカでは有名な存在ではあったけれど、

それは、公務員アートコレクターの幸運と成功のような話ばかりで……」

彼女が受けた衝撃はそれとは違い、まるで、おとぎ話を聞くようだったという。

その自分の感覚を大切にし、ていねいにまとめていった労作である。


彼女の説明や配布資料に書かれたものが興味深い。

・制作資金の調達を待つことなく、いきなり自分のデジタルカメラで撮影を始めた。

・現代美術に詳しいわけでもないので、コレクターという人種に対して、

 ある種の思い込みがあったけれど、それが良い方向に裏切られる発見が多かった。

・資金が足りず、撮影もままならないときは、仕事というよりは家族のように

 接して、その期間に信頼や連帯感を得ることができた。

なんだか、一見逆境なのに、それを転じて、活力としてしまう強さがある。


ギャラリストの小山登美夫さんはニューヨークでのオープニングで、

ハーブ&ドロシー夫妻を見かけることがあったらしい。

彼らの身長は150cm台らしいのだが、よく目立っていたという。


 映画「ハーブ&ドロシー」予告編(日本語字幕つき)


もうひとつ、別のトレーラーがあったので貼っておく。部分的に重複しているが。

 

オフィシャルページはこちら↓をクリック。

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この秋、イメージフォーラムほかでロードショー。

 

イベントがいくつかある。

・10月1日(金)18:30〜横浜美術館で上映会。先着200名招待(9月1日受付開始)

 本文→名前、連絡先電話番号/件名→「ハーブ&ドロシー参加希望」書いて、

 yma-jyuku@yaf.or.jp 宛てにメール。問い合わせ:電話045-221-0304

〈art-Link 上野−谷中 2010〉にて先行上映会。

 10月17日11:00〜/14:30〜東京国立博物館平成館大講堂。

 上映後に監督によるトークあり。チケット:1,800円(前売・予約1,500円)

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4 コメント {コメントする}
  • 仙台通信

    予告編見ました。
    素敵なお話ですね!

  • Ufer!

    僕も去年の春、モントリオールで見ました。すんばらしいドキュメンタリー映画です。こちらにその時の事を少し書いています。http://www.ufer.co.jp/users/uferblog/weblog/979a7/2009_春.html

  • INTRO

    佐々木芽生(ドキュメンタリー映画作家)インタビュー:映画「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」について

    ナショナルギャラリーに4000点あまりのアート作品を寄贈したのは、NYのアパートで慎ましく暮らす公務員のカップルだった……。現代のおとぎ話とでも言うべき驚きの物語を温かくおもし…

  • さなぁえ

    とても寒い夜に観に行って、とても心が温められて帰って来ました。
    アートに触れる人達は、作品とかについて何かの解釈を呈したり制作意図を読み解いたりするスキルがないといけないと思いがちですが、感覚や感じるだけでよいんだな、と改めて感じさせてくれました。
    ただ自分の気持ちで向き合えばよくって、自分の出来る事で関わっていけばよいんだ、と言うことを示してくれました。
    お2人とも、いいお顔してますよね。
    http://sanaegogo.exblog.jp/13840592/

    BankARTのインタビューも行きたかったんですが、知った時既に遅しで・・・・。

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