『全宇宙誌』を知っていますか?

08/05/06 | カテゴリー:「フクヘン。展」準備中! | | 2 コメント

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昨日のブログでお知らせした「フクヘン。展」(仮)で展示する蔵書のライン

ナップを考えていて、その1冊として、たとえば、これを出したいと思った。

↑松岡正剛ほか[編] 杉浦康平[造本]『全宇宙誌』工作舎 1979年

 

日本の出版史に独自の位置づけで歴史を刻む出版社である工作舎

設立時から構想があったというのが、この『全宇宙誌』である。

「宇宙それ自体であるような一書」(本書より)という。

 

これまで出版された本は、人類の知の体系〈知の宇宙を成す。

それをブックコスモスというのだろう。

それに対し、宇宙を1冊の本にまとめる。コスモスブック?

 

↑裏表紙(表4)側。

 

オリジナル版で付けられていた透明ビニールに白インク印刷のカバーが傷みやすい

ためか、のちの版では紙のカバーに替えられてしまっている。

 

↑紙のカバー。デザインは、杉浦康平+谷村彰彦となっている。

 

この本について語れば、きりがないので、表紙を開いたところに記された

編著者・松岡正剛氏のレジュメ「[全宇宙誌]の前宇宙史」を画像で引いておく。

 

↑クリックをすると、倍の大きさになってなんとか読めるはず。

『全宇宙誌』は宇宙を語るため、8つの側面を与えている。

1 時間としての宇宙  The Cosmos as Time

2 空間としての宇宙  The Cosmos as Space

3 構造としての宇宙  The Cosmos as Structure

4 電波源としての宇宙 The Cosmos as the Source of Radiowaves

5 現象としての宇宙  The Cosmos as phenomenon

6 対象としての宇宙  The Cosmos as Object

7 観念としての宇宙  The Cosmos as Idea

8 物質としての宇宙  The Cosmos as Matter

この8テーマが相互に関連しあい、それぞれが同時に進行していくような

エディトリアル構成になっている。

表紙周りばかりでなく、全ページ漆黒の上に文字や図版は白抜き。

星くずも散りばめられている。

 

↑紀元前10世紀エジプトのパピルスに描かれた天地創成神話、古代バビロニアの

 宇宙観、古代インドの宇宙観、中世ヨーロッパの宇宙観などの図版。

 

↑上智大学で中世神学を講じていた(当時)ハンニバル・ファントリ氏による

 「[神学宇宙]★トマス・アクィナスの神と宇宙」

 

各ページ右下にはその見開きの主題とは無縁に151人の天文学者小事典が続く。

「ピタゴラスからカール・セーガンまで」を謳っているが

レオナルド・ダ・ヴィンチやバッハなどその取り上げ方は幅広い。

ブックデザインは表紙周り、誌面を超えて、木口(紙の重なった断面)に及ぶ。

 

↑表紙側から木口を見ると、アンドロメダ星雲が現れる。

 

↑裏表紙側から木口を見ると、それは星座図に。

この本が出版されたのは人類月面着陸の10年後、1979年にである。

もう30年も前にこんな本が出版されていたことに驚かれる若い読者も多いだろう。

しかも日本でである。

宇宙研究の進歩は当然目覚ましいものがあり、編著者の松岡氏も認めているように

本書編集の間にも追いつけない勢いで発展していった。それはそうだろう。

しかし、それとは別に、この出版史上の大変な偉業ぶりは、色あせるどころか、

今もなお、輝きを増し、現代の編集者である僕たちの目標であり続けている。

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2 コメント {コメントする}
  • Kishimoto

    1年ほど前に松岡正剛事務所を訪問し、脳科学の古今東西をまとめる「脳科学地図」の作成あたってアドバイスを求めたことがある。完成版は、
    http://www.riken.jp/r-world/info/info/2008/080219/index.html
    その際、正剛氏から、言葉も絵画も音楽も脳そのものであり、その膨大な歴史をまとめるには本を編集すべきとのアドバイスをいただいた。正剛氏の頭には、この「全宇宙図があったのかもしれない。
    結局、1枚ものの地図となってしまったが、いずれは「全宇宙誌」の脳科学版を作ってみたい。

  • 工藤 敏之

    モノログというブログを書いている者です。

    ブログで「遊」を紹介したのですが、この全宇宙誌を紹介しない訳にはい

    かないと思いましたが、何せ手にしたのは遠い昔の事!

    で、ネットを検索してみたところ、こちらへたどり着きました。

    こちらのURLをリンクとして貼らせていただきました。

    よろしかったでしょうか?

    だめなようならば、削除させていただきます。

    懐かしいそして、感動の情報をありがとうございました。

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