コピーライター秋山晶さんが教えてくれた。

08/03/10 | カテゴリー:蔵書紹介 | | 7 コメント

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たまに、「文章の先生っていますか?」と聞かれる。

駆け出しの頃、先輩や上司から文章作成のコツや要領、決まりごとを習った

ことはあるけど、文章修業をしたことはない。僕たちの仕事はどちらかというと

上手い文章を書くことよりも上手い文章を書くプロを見つけ、その人と

チームでページを作ることの方が重要だ。書くことよりも読むこと。

文章の達人になるよりも、文章の目利きになることが優先される。

で、答えだが「師匠はいないけど、仕事を真似したい書き手はいます」と

答える。そんなひとりがコピーライターの秋山晶さんだ。

 

↑『秋山晶全仕事 広告批評の別冊』1985年11月15日発行 マドラ出版刊

秋山晶さんの仕事はたいてい好きで、なかでもキューピーマヨネーズのコピーは

(ストーリー)だいたい頭に入ってる。

特にダイナー(ハンバーガーなどを出す簡易食堂)を舞台にした広告シリーズ。

ニューヨーカーの短編などアメリカのショートストーリーをベースにして、

舞台を東部の町のダイナーに設定し、数百字でシーンを描いている。

たとえば、一番上、左の写真、ヘッドコピーは

ハンバーガーを焼くのを卒業して、アメリカン・ジゴロになった。

 

↑「俳優」とは、リチャード・ギアのことだろう。 そして、右の

誰かがカメラを買うと、まずダイナーの前で写真を撮った。

 

↑知識や土地への愛着+実際にロケで出かけたから書ける文章。理想だ。

このシリーズはかなりの数があり、どれもいいものが多いので紹介しきれないが

僕の好きなものの中からもうひとつ。

電話番号をTシャツに書いて、サンドイッチを食べに行った。

 

↑広告は当然、カラーだが作品集にはモノクロで収録。

 

↑電話番号を直接聞き出すなんてできないシャイな少年少女たちの情景。

ほかにも、

キャディラックに乗って、ここに帰るのを夢見ていたわ。

ここでサンドイッチを食べていた医者を連れてきて、私が生まれたの。

グレイハウンドの運転手を見るために、バスを待った。

店のペーパー・タオルで涙をふいた。

どうです? いいでしょう? もっと読みたくなる。

この『広告批評』の別冊とは別にこんな作品集も出ている。

 

↑秋山晶『アメリカン マヨネーズ ストーリーズ』 1997年11月10日1刷発行 ビジネス社刊

 

どちらも絶版なので古本で探すしかない。

(「全仕事」の方は復刊ドットコムのリクエスト投票の対象になっている)

先日、ポール・オースター編『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』を

読んだのだが、どうして(特に)アメリカ人は人生の断片をショートストーリーに

まとめるのが、こんなにうまいのだろうと思う。(それについてはまた書きたい)

秋山晶さんのこの仕事はそんな系譜の中にある。

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7 コメント {コメントする}
  • hide

    嬉しさや、悲しさ、そして希望など、
    感情につつまれた文章。
    受け取り方任せな、一方通行で無機質ともいえるいまの情報社会に対局する
    情緒豊かなコピーだと思います。
    うっとうしいくらい、人間味にあふれて
    こころ打たれますね?。
    はじめまして。
    いつもブログ拝見しています。

  • kyono

    私もはじめまして、です。
    美術館と美味しいモノに関する磨きのかかった情報が好物の私、こちらのブログはいつもワクワクさせられています。
    拝読してはコメントしたいこともありつつ、ついひっこんでおりましたが、この記事は見過ごせなかった!
    私も秋山晶さんのコピーが大好きで、彼に憧れてコピーライターを目指した青春もありました。もちろん、この本も持っています。
    特にこのマヨネーズ・シリーズ…アメリカがいい色に輝いていた頃を懐かしく切なく想わせてくれるんですよね…。
    今、こんな時代になって、ブログという形で発信ができるようになり、心をさぐりながら言葉を紡ぐとき、彼の世界は手元の灯りのようです。
    またこの本をバイブルのようにめくる日々が巡ってきたことをしみじみと嬉しく思っていたところだったので、つい出てきてしまいました。
    これからも楽しみに読ませていただきます。

  • 鈴木

    うれしいなぁ。
    秋山晶さんのことを書いたら、コメントのほか、メールをいただいたりしました。
    やっぱり好きな人が多いですよね。
    このエントリーを書いていたとき、「日本の古本屋」サイトに『全仕事』が1冊あって、4000円でした(高いですね)がアップして半日後チェックしたらもう無くなってました。
    偶然かもしれませんが。

  • hide

    偶然ではありませんよー。
    何しろ購入したのはこの僕です 笑
    明日には、僕の手元に届くのです。
    しかもマガハ近くの
    中央区銀座6丁目なんです!!

  • kyono

    わ…笑。
    4,000円は高くないですよぉ。>hideさま

  • 鈴木

    高いね、と言ったのは僕です(笑)。

  • ご無沙汰してます。
    勝手にこっちのブログにリンクはらせてもらいました。事後報告にてすみません。
    秋山さんはぼくにとっても永久に到達できない目標です。精進します。

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