80年代に朝日出版社から出ていた『週刊本』のこと

08/03/09 | カテゴリー:蔵書紹介 | | 3 コメント

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最近は古書展や古本屋でもあまり見かけなくなった『週刊本』シリーズ。

1984年〜85年に朝日出版社から出ていたペーパーバックスタイルの本。

週刊誌のように次々出てくるというコンセプトだったのだと思う。

僕はもちろんリアルタイムで買っていたのだが、そのあと古本で買い足した。



↑僕が持っているものの、これで約半分。

時代背景を見ると、やはりニューアカ(と言ってもわからないか、今は。ウィキで

引いてください)の匂いがする。朝日出版社だし。



↑これが残り半分。44冊中34冊持っている勘定。


雑誌と単行本の中間のような存在(ムックと違う意味で)とも捉えられるし、

文庫や新書とは違うスタイルの出版形式かなとも期待した。

コンテンツはかなり凝ったものから、勢いだけで作ったものなど様々。



↑サイズは通常のペーパーバックとほぼ同じ。やや小さい。


坂本龍一氏は「6」で『地平線の書物 本本堂未刊行図書目録』を作っている。

本本堂は坂本氏がオーナーの出版社。発売元は別にあるもが数冊の刊行物がある。

その本本堂の「未刊行図書目録」だから、架空の図書目録というか、

刊行予定書目録ともいえる。ともかく、こんな本があったらいい、いつか出そうと

著者と装丁家と考え、スケッチしている書物目録だ。

この『森のバロック南方熊楠論』は著者:中沢新一氏、装丁:奥村靫正氏。

「松茸に数十種の変形菌(粘菌)を植え付けて頁をくりぬいた中におさめ、

紙に適度のしめりけをあたえておく。種々の粘菌が各頁ごとに独特の運動を

していろいろな文様を作っていく」というもの。

実際にはその造本コンセプトは無理だったものの、92年に中沢氏は

せりか書房から『森のバロック』という南方熊楠論を出している。

(2006年に講談社学術文庫で文庫化されている)



↑現実にはない本、ありえない本の目録なのだ。


篠山紀信氏によるヌード(連写式。パラパラマンガのよう)とか、

日比野克彦氏の大型作品集のダイジェストなどヴィジュアル本もある。



↑「3」は日比野克彦『HIBINO SPECIAL』


親本は朝日出版社から出ていた

『HIBINO A Collection of the Works of Katsuhiko Hibino』という4800円の本。



↑日比野氏の作品は週刊本のザラ紙、カジュアルなたたずまいと相性抜群。



↑最後のページには「週刊本の刊行にあたって」が書かれている。


週刊本シリーズはたった2年で姿を消してしまった。

カバー(紙カバー)がない単行本だと思うと再生しにくいということが雑誌と

違って不利だし、雑誌としては内容的には足が遅いものが多く、単行本に近い

という特性が出てしまうかもしれない。

それでも、この形式は新しい出版メディアの可能性までも予見させるもの

だったと考えられる。 今見てみるとどうだろうか。メディアも大きく変わった。

当時はインターネット、携帯電話はなかった(車載電話はあった)し、

CDはあったけど、まだアナログレコードが主流で、ウォークマンは

カセットテープだった。現在、情報はデジタル化され、形がなくなっている。

(たとえば、映画・演劇情報は『ぴあ』のような形なのだと思うと

考えやすかった。PVもテレビのものだったが今はYou Tubeのような

形もしている。映画が映画館[=入場料を払う]のものから、ビデオ、

DVDを経て、オンデマンドのような形式になっていっている)

それだけにこういう「週刊本」のようなフェティッシュな箱、

形も内容を決定するというようなメディアであることが、

不自由であり、それだけに面白いことができるのではないだろうかとか思う。

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3 コメント {コメントする}
  • S.K

    初めまして。
    いつも楽しみにブログを拝見しております。
    『森のバロック南方熊楠論』は週刊本の何号に掲載されたものでしょうか。なかなか難しいとは思いますが、ぜひ探してみたいと思ってお伺いしました。よろしくお願いします。

  • 鈴木

    第6号(巻)です。
    表紙の写真も出してありますので、ご参照ください。

  • m u r mu r r ur m

    下北発「路地」という問題意識

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