復刻「少年マガジン」カラー大図解

08/01/27 | カテゴリー:蔵書紹介 | | No コメント

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昨日に引き続き、「1冊の本」アンケート対策(?)シリーズ。

(こういうのを作っておくと、「このアドレスを参照してください」で済む)

1960年代終わり頃?70年代の少年マガジンに載っていた「図解」シリーズを

集大成した本だ。

『ヴィジュアルの魔術師・大伴昌司の世界 復刻「少年マガジン」カラー大図解』

 

↑講談社刊。1989年発行。週刊少年マガジン編集部編


当時のマンガ週刊誌は今よりもレベルが高かったというか、

こういうグラフジャーナリズムも記事として掲載していたのである。

グラフジャーナリズム界の巨人、大伴昌司。

ここでは編集者としての仕事だが、多彩な人で、映画、テレビ、CMの

領域でも仕事をしている。1936年生まれ。1973年他界。

日本の雑誌のヴィジュアル化の歴史を語るとき、決してはずせない仕事で、

現在、40歳代後半から50歳代の編集者で直接・間接問わず、彼の影響を

受けてない人はいないのではないかと思う。

写真や絵や文章を誌面上で展開し、わかりやすくしかもインパクトのある

伝え方をするという技術には卓越したものがあるのはもちろんだが、

そこに至るまでの知識の広さ、思考の深さがあってこその記事である。

たとえば「情報社会?きみたちのあした」という記事ではさまざまな

未来を予測している。コンピュータ/インターネット社会の到来などは

かなりの正確さで予言している。あるいは、形を変えて結果的には

実現に近づいているものもあるといえる。この「自動ドライブ時代」は

やってきてないし、こういうシステムは生まれないだろうが、現在の

カーナビの普及はややイメージに近いだろう。


↑『少年マガジン』1969年4月13日号より。40年近く前だ。


これは「完全映画」(1969年3月30日号掲載)。様々な新しい映画の方式を

解説している。一部は翌年の大阪万博で公開されたものに似ている。

映画はどんどん現実に近づいていくという紹介。つまり、ヴァーチャルリアリティだ。


↑全周映画や体感映画、映画+演劇などの方式が描かれている。


この「世界大終末」(1968年12月8日号)は絵がすべて小松崎茂による力作で

気温の変化(暑くなる・寒くなる)、隕石衝突の危機、第3次世界大戦などによる

地球の終末をシミュレーションしている。

なかでも、「寒くなった地球」のところで「地球の回りを分厚いガス帯がとりまき、

太陽光線をさえぎって、気温が低下する」という解説があるが、現実には

二酸化炭素が地球を被い、温室効果で気温があがるという現象が起きたわけだ。

40年前の少年向けマンガ雑誌の恐怖記事と笑い飛ばせない現実が現在ある。

実は僕はこの号を10歳でリアルタイムで読んでいて、あまりの怖さにちょっと

不眠気味になったり、今でいえば無常観を感じたりしたものだ。


↑それにしても、このころの小松崎茂の画力は群を抜いている。


大伴昌司といえば、怪獣図鑑の仕事が特に有名であり、大阪万博も何度も記事に

している。また、美術ではエッシャーや横尾忠則の特集を組んでいる。


↑グラフィック化で怪獣ブームに拍車をかけた立役者でもある。1966年7月10日号。


この本は残念ながら絶版。このあと、編集し直し、3分冊で出ているがそれも絶版。

古書店で探すか、図書館などで見るしかない。

先日、コレクターの北原照久さんに会ったとき、彼は当時の少年マガジンから

切り抜いた手作りの”大図解”全集を持っていて見せてくれた。

ファイルブックにきれいに整えられていた。それも貴重である。

どこかの古書展で入手したらしいが相当高かったという。ファンはいるのだ。

実は僕も1970年の『少年マガジン』全冊を持っていたことがあるのだが、

段ボール箱3箱になるので、手放してしまった。大図解だけを切り抜いておくのも

考えたのだが、雑誌の形で残るならその方がいいと思い、ある人に譲った。

少年マンガ誌に見られたこういった硬質な記事は少なくなり、やがて、

「ハレンチ学園」などで部数を伸ばす『少年ジャンプ』(集英社)の時代が来る。

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