奈良美智:君や僕にちょっと似ている

12/07/15 | カテゴリー:美術展 | | 1 コメント

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奈良美智さんの大規模な個展「君や僕にちょっと似ている」が横浜美術館で始まった。

9月23日[日まで。

青森県立美術館(10月6日[土〜2013年1月14日[月)、

熊本市現代美術館2013年1月26日[土]〜4月14日[日])に巡回する。

横浜美術館では2001年に奈良美智さんの個展「I DON’T MIND IF YOU FORGET ME.」

が開催されているので、11年ぶりになる。

一人の活躍中の作家の個展を時間を置いて開催するというのはいろいろな意味で

有意義であると思う。実はなかなか例がないのだが。

(以下、写真は美術館に許可を取得し撮影・掲載しています。

作品の著作権は原則的にすべて奈良美智氏に帰属します。©Yoshitomo Nara)


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《春少女》2012年

 

 

【注意】以下には20点以上の写真が掲載されていて、

展覧会の概要がかなりわかる内容になっています。

ブログに掲載していながら勝手な言い分ですが、

できるだけ展覧会で実物を見ていただきたいと思います。

同意される方はここまでに。閲覧ありがとうございます。

少しだけ内容を知りたいと言う方には、簡易版を用意しました。

こちらです。

すでに展覧会を見た方や内容を知ってかまわないという方は

以下にお進みください。

 

 

 

 

 


これだけの広大なスペースを使った個展であるにもかかわらず、すべて新作。

大型のペインティングがたくさん出品され、どの作品の前でもじっと立ち止まってしまう。

やはりこの人の描く力、絵によって気持ちを伝える力は特別のものがある。


今回のメインヴィジュアルになっているのはこの作品。

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《夜まで待てない》2012年


メイキングも少し公開されていて、たとえばこの《夜まで待てない》が完成するまでの

プロセスがわかる。

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最初、別の絵を描いたキャンヴァスを塗り込め、その上に描き、それをまた塗り込め、

3度目の正直でこの絵になっていったのがわかる。


最近の心境として、今できる精一杯のものを、その時あるがままの状態で見せたいので、

必ずしも完成でないこともあるという。

たとえば、この作品はタイトルに「未完」と付いていて、

これは説明なのはそういうタイトルなのかは不明である。

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《Cosmic Eyes(未完/Unfinished)》2012年


この作品の眼には文字が描かれている。眼が語っている。

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OH MY GOD.


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I MISS YOU.


これらの作品はかつて、杉戸洋氏とのコラボペインティングの流れであるように見える。


下の左側の作品、タイトルからして奈良氏のご母堂の若き日の肖像だろうか。

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左《Young Mother》2012年

右《ブランキー》2012年


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《In the Milky Lane / Thinking One》2011


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《Under the Hazy Sky》2012


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《Let's Talk about "Glory"》2012



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左《体重計少女》2011

中《Red Cross Kranken Schwester》2012

右《フタバ》2011


以下、奈良氏が「ビルボード」シリーズと呼ぶ板に描いた作品より。

何点か出品されている。

村上隆氏がニューヨーク、クリスティーズで主催した

東日本大震災へのチャリティオークション〈New・Day〉にも

この「ビルボード」シリーズを3点出品した。

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《One Foot in the Groove》2012


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《My Bear》2012


昨年、水戸芸術館ギャラリーでの「カフェ・イン・水戸」の展示をベースにした

セクションも作られている。

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さらにパノラマで全体を見渡すと

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一度クリック→小さくなり→もう一度クリック→大きくなります。

 

いくつかディテールを以下に

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段ボールと縫いぐるみを組み合わせた作品は水戸でも目を引いた。


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アトリエにあるものを展示している。


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ずっと描き続けているが、この作品は未完のままだという。


ドローイングも数多く出品されている。ダンポールに描かれたものや使用済み封筒などにも。

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今回の展覧会では初めて、ブロンズ彫刻が発表された。

これまで、FRP成型や木彫作品、陶芸作品はあったけれども、これは新鮮である。

母校である愛知県立芸術大学にレジデンスして作った作品。

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前述のとおり、すべて新作で展覧会を構成したため、その準備期間中、

東日本大震災があり、それよりさらに1年ほど前に御尊父が亡くなったり、

コンスタントに絵が描ける状況ではなかったようだ。

鉛筆のドローイングは続けてはいたものの停滞感があった。

そんなとき、母校での立体作品制作や、水戸芸術館での展示(これは放射能問題で

アメリカ人作家の展覧会が急遽中止になり、かつて展示したことのある作家を

集めての展覧会だった)で少しずつ再び絵に取り組めるようになるなど、

作品制作の道のりは平坦ではなく、ロング&ワインディングロードをたどり、

ここに到着した。


そんな凝縮された数年間(作品完成年を見ると実質的には2年間か)に生み出された

作品群だが、それでも決して単調になったり、飽きさせたりせず、作品ひとつひとつ

それぞれに惹きつけられてしまう。


記者会見では奈良さんによる詳細な説明や、

ひとつひとつの質問に詳しく真摯に答える姿が印象に残った。

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記者会見の様子。左から本展担当の横浜美術館主任学芸員の木村絵理子さん、

出品作家の奈良美智さん、横浜美術館館長の逢坂恵理子さん。


記者会見につづき、展覧会開会式が行われた。

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挨拶をする奈良美智さん。


横浜美術館は奈良氏の作品を多数所蔵していて、同時開催のコレクション展にも

出品されているので、そちらもお見逃しなく。


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ドローイング作品。


さらに最近の作品だが、個展の文脈に収まらなかったらしく、

コレクション展のスペースに飾られていたのがこのおしっこをする男の子。

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《ジュリアン》2012年


展覧会の作品がそろっても、完了したくないというか、いわば残尿感のようなものが

いつもあり、ついついおしっこの絵を描きたくなると、奈良氏は開会挨拶で語った。

そういえば、2001年の展覧会にもこれとは違う、おしっこをする男の子の絵があった。



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