アーティストや音楽家、ファッショデザイナーやパフォーマーの創作の
プロセスを示すノートやドローイングやメモなどを集めた興味深い本。
『ArtWork: Seeing Inside the Creative Process』。英語の本なので、
『アートワーク:創作過程の内側から見る』とでも仮に訳しておこう。
横尾忠則、ルイズ・ブルジョア、坂本龍一、ヨゼフ・ボイス、山本耀司、
リチャード・セラ、カーステン・ニコライ、ダグ&マイク・スターン、
マース・カニンガムはじめ、19人(組)の創作のプロセスを垣間見る。
創作現場好きにはたまらない本だ。
それぞれに6ページから、12ページを費やし、写真と文章で構成されている。
僕も横尾忠則さんの項目を書かせてもらった。けっこう長い文章。
『ArtWork: Seeing Inside the Creative Process』Ivan Vartanian編 Chronicle Books刊
横尾忠則さんはずっとつけている日記を公開している。
日記についてはすでに日本語では何冊か本を出版しているし、
日記の形式をとったエッセイ集も何冊かある。
by Yoshio Suzukiとある。日本語で書いて、英訳してもらった(そりゃそう)。
英語に訳されることを前提として書くと、どうしても英語から翻訳した日本語みたいな
文章になりがちだった。編集者は「普通にいつものように書いてください」と
言ってくれたのだが。
横尾さんの日記は大判で、作品のようにコラージュされていたり、
そのままシルクスクリーンが刷られている、一点ものの作品みたいだ。
けっこう長い文章を書いた。そのために著作をずいぶん読み直したし、
もちろん、横尾さんにもいろいろチェックしてもらっている。
今回書いてあらためて強く思ったのは、横尾忠則という作家は時間の軸を調節し、
自由自在に時間旅行をして、作品を作り続けている、作り続けようとしている
ということである。
そもそも、デビューの初期の作品集のタイトルが
『横忠則全集全一巻』とか『横尾忠則遺作集』である。
あらかじめ、完成・完結してしまった作家としてスタートしているように思える。
そんな彼という前提で見ていくと、クロノロジカルな日記というものが、
いっそう重要に思えてこないか?
詳しくは、本書で。
さて、横尾氏以外のページを少しだけ見ていこう。
ファッションデザイナー山本耀司さん。
モデルに仮縫いをしたり、ウォーキングをチェックする山本氏の写真も。
このセクションの写真家は、Paolo Roversi氏ほか。
マース・カニンガムの写真とノートがすごくいい。
16枚分のシートが掲載されている。
このセクションの写真は、Louis Greenfield氏。
ALVA NOTO(カーステン・ニコライ)と坂本龍一のコラボワークのノート、メモ。
音楽のスコアや舞台の配置のドローイングも描かれている。
英国の作家、Will Selfのスティッキーノート(ポストイット)の使い方が
すさまじい(笑)。壁にも、そこに貼った地図のさらに上に、カレンダーや
予定表やメモ帳の上にも、そして机の上にも貼り尽くされている。
メモの内容が読めるアップの写真もあるのだが、内容は彼にしかわからない感じだ。
それぞれの項目で1冊ずつ本が作れそうな、濃い内容である。
ルイズ・ブルジョアのドローイングやマイク&ダグ・スターンズの広大なアトリエの
写真なども載っている。
アーティストの舞台裏好き、プロセス好きにはぜひ見てもらいたい本。
日本のアマゾンでもすでに買えるが、表紙のイメージはやや違うものがアップされている。