ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ

14/01/11 | カテゴリー:美術展 | | No コメント

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ベルギーのゲントを拠点に活動する現代美術作家、

ミヒャエル ボレマンスの日本の美術館で初めての個展が原美術館で始まっている。

具象画であり、わかりやすいと思わせながらも、実は多くの謎を秘めている。

イメージの理論化を避け、描かれる人間も個性を浮き彫りにする肖像ではなく、

人間として描かれる。

38点の作品を展示。2点が国立国際美術館蔵。あとはすべて個人蔵だそうだ。


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《One》カンヴァスに油彩 2003年


「ミヒャエル ボレマンス:アドバンテージ」

 (英題 Michaël Borremans: The Advantage) 

3月30日(日)まで。原美術館 

開館時間 11:00 am-5:00 pm (水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで) 

休館日 月曜日(祝日にあたる1月13日は開館し、1月14日休館)

入館料 一般1,000円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、

学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引 


多くの国際展にも出品し、世界中の美術館からオファーを受けるボレマンスが

今回、展覧会の会場として選んだのは、東京・品川の原美術館だった。

この、個人の邸宅として建てられ、大戦をくぐり抜け、現在は美術館に

用いられているここを以前訪れたときからの構想であった。

彼が描く、時間・空間を超越したかのような作品たちを

展観する場にふさわしいと感じたのであろう。


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《Magnolias – (I)》カンヴァスに油彩 2012年


本人が明らかにしていることからであろう、彼について

「ディエゴ ベラスケスやエドワール マネなど近世・近代絵画の描写に倣い、

自国のシュルレアリスムの遺伝子も受け継いでいる」と語られる。

そこで、プレス内覧会の記者会見で質問してみた。

「ディエゴ ベラスケス(写真も映像もなかった時代)、

 エドワール マネ(写真はあったが、映像はなかった時代)、

 シュルレアリストたち(写真も映像もある時代)と、意識的に挙げている」

答えはそれはもちろん意識的であるということ。

そして、「さまざまなメディアがあり、しかもネットにより瞬時に画像・映像が

送られる現代にあって、絵画・画家の役割はどういうものであるか」

これについては、「絵画・画家」という一般論は避け、個人的な話として、

現代において、絵画はむしろリリース(解放)される。自由になる旨の答えが返された。

確かに彼の作品群は、歴史上の画家たちの仕事が、図示したり、画像を残すための

ものだったのに対し、思索の入り口に立たせる道具とも言えるのかもしれない。


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左《The Egg III》カンヴァスに油彩 2012年

右《The Egg IV》カンヴァスに油彩 2012年


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《The Sheets》カンヴァスに油彩 2003年


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左《The advantage》カンヴァスに油彩 2001年

右《Commutation》カンヴァスに油彩 2008年


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《Red Hand, Green Hand (2)》カンヴァスに油彩 2010年


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《Dragonplant》カンヴァスに油彩 2003年


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《The Beak》カンヴァスに油彩 2010年


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《The Bread》19インチLCDスクリーン、HDヴィデオ(ループ)、AP 2012年


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同上《The Bread》より

このヴィデオ作品は2012年、ゲントのSint Baaf大聖堂(ファン・エイクの名作で

知られる)での現代美術展で展示されたときにも見ている。

じっとして少女がときどき手を伸ばして、パンをとり、口に運ぶ。

咀嚼されたあとのパンが、のど元などを経ていく様子が生々しい、

エロティックである、と見てもいい。

このモデル選びのエピソードを聞いたとき、この映像のもうひとつの隠された

テーマがわかった。モデルの条件は処女だったのだという。

処女とパン(キリストの肉体)。つまり、そのテーマは聖母子像なのである。

しかも、Sint Baafでは聖堂の祭壇に堂々と置かれていたのだ。




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左の作品は《Mombakkes II》カンヴァスに油彩 2012年


ミヒャエル ボレマンス略歴(今回のプレスリリースより):

1963年、ベルギー、ヘラールツベルヘン生まれ。ゲント在住。 

90年代半ばより、写真による表現から油彩へと転向。

以来、国内外の先鋭的な美術館やアートスペースで個展を開催、

ベルリン ビエンナーレ(2005)等国際展にも参加している。

近年、絵画と連動する映像も手掛け、さらに謎めいた世界を創り上げている。

2010 年夏には、ベルギー王妃の依頼を受け、王宮に展示するための作品を制作、

一般公開された。

日本では、個展「Earthlight Room」を開催(ギャラリー小柳、2008)、

横浜トリエンナーレ(2011)にも出品している。

また、国立国際美術館に絵画が2点収蔵されている。

パレ デ ボザール(ブリュッセル)にて個展開催予定

[2014年2月22日(土)-8月3日(日)]。




   

   

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